無期雇用契約とは?
転職雑記 2024/4/23
近年、「無期契約社員」という言葉を耳にするようになりました。
この「無期契約社員」について、「正社員」と思っている人も多く、求人でも「無期契約社員」のことを「正社員」として募集しているものも見かける時があります。
しかし、「無期契約社員」と「正社員」はまったく違いうものです。
なぜ、こうした間違いが起こるのでしょうか。
今回は、「無期雇用契約」について「正社員」や「有期雇用契約」の違いなど、その詳細を確認していきます。
1.「無期契約社員」と「正社員」は同じではない
以前の労働契約では、「有期雇用(期限あり)」契約を結ぶ人は「契約社員」、無期雇用と言えば「正社員」のことを指す言葉でした。
しかし、2012年の労働契約法の改正により、派遣社員や契約社員、パート・アルバイトなども無期雇用契約ができるようになり、「無期雇用契約」で働く人が急増したのです。
有期契約社員からの無期転換については、労働契約法の第18条で規定されています。
ただし、労働契約法の改正によって定められているのは、「正社員にしなければならない」ではなく、あくまでも「有期だった契約を無期の契約にしなければならない」ということ。
労働時間や職務内容、待遇などの「労働契約の内容」はそのままでも構わないのです。
そのため「無期契約社員」が一般の「正社員」と同じとは言えないのです。
一般的な「正社員」とは待遇や職務などに何らかの違いがありますが、何が違うかは労働契約の内容によります。
このため、転職活動の選考の際には面談などで正社員の内容を確認する必要があると言えるでしょう。
2.「無期契約社員」の定義
2012年の新しいルールによって、契約社員などの有期労働契約者が通算5年を超える場合に、会社に対して「契約を無期にしてください」と申し入れると、会社は無期の労働契約に切り替えなければならなくなりました。
このため「有期の契約社員」が「無期の契約社員」となり、「無期契約社員」という雇用形態が生まれたのです。
3.「無期契約社員」のメリット・デメリット
比較的新しい概念である「無期契約社員」ですが、そのメリット・デメリットにつて確認してみましょう。
【メリット】
①契約期間が安定する
今まで「有期契約」だったので、『次回は契約更新してもらえるのか?』と、不安になることもあったでしょう。
しかし、「無期契約」になるとその心配が無くなり「雇用の安定」になります。
②仕事内容が変わらない
「無期契約」になっても、今までと仕事内容は変わりません。
仕事内容の変化は望みたくない人にとっては、何も変わらないのでメリットと言えます。
③収入が安定する
無期契約になると契約が更新され続けるので、安定した収入があるという安心感があります。
【デメリット】
①正社員になりにくい
「無期契約社員」という雇用形態として固定されるので、今までより正社員になりにくい状況になります。
②待遇が変わらない
無期契約社員は契約期間が無期になっただけなので、待遇は変わりません。
待遇改善を望む人にとってはデメリットと言えます。
4.契約の更新上限に注意
現在、企業は「無期契約」への対応として、有期契約が5年を超えないようにするケースがあります。
有期契約社員として採用する際に、あらかじめ「契約期間更新の上限は5年まで」というただし書きをつけている場合があります。
無期契約社員への転換を期待して契約社員の求人に応募する場合は注意が必要です。
また、2024年4月からは、採用時に明示される労働条件に、有期労働契約の場合には更新上限の有無と内容、無期転換申込機会や無期転換後の労働条件が追加されるので、労働条件通知書や労働契約書をしっかりと確認しおいてください。
なお、「無期転換権」を行使する場合は、現在締結している有期契約が通算期間が5年を超えていることを前提に、会社に対し期間の定めのない労働契約を締結したい旨を伝えなければなりません。